妖精の章 二十八

 

 譬えるならば、そう、泥濘に突っ伏した顔面を引き上げるに似ているかもしれない。

 そんな億劫な動作で、枕から顔を上げた泉は、何故こんなにも疲労を感じているのか分からず、身を起こした。
 緩慢な動作は、顔を洗っても着替えても、店主や同僚と挨拶を交わしても変化なく――


「あ、雨……」
 店先に座ったなら、ようやく今日の天気が雨であることに気づいた。
 水が豊富な割に雨量の少ない奇人街。
 ほとんどが晴れの日であるため、珍しい雨の日にわざわざ出かける住人はいない。
 だからなのか、竹平は店番に出ず、洗濯に精を出していた。
 以前、隣に住む学者から得体の知れない下着を受け取ってしまった彼は、以来、自分の服は自分で洗う事にしているそうで。
 奇人街に来る前までは、家事全般をやってくれる人がいた、という竹平だが、一度教われば大抵の事はこなせる器用者。
 同郷のよしみで、一通り教えた泉は、呑み込みの早さに驚く傍ら、どうして今までやろうとしなかったのか、素直に疑問をぶつけてみた。
 帰ってきた答えは簡潔に、“忙しかったから”。
 こうして同じ場所で同じ時間を過ごしていると、つい忘れがちになってしまうが、元居た場所での竹平はかなりの有名人。
 なので、泉が「ああ、そういえば」と驚きを口にしたなら、虚を衝かれた顔の竹平は呆れた様子で肩を竦めた。
 てっきり怒るかと思っていた泉にとって、この反応は少々意外。
 そういえば来た当初、シンという名前にこだわっていたが、ここ最近は、本名の権田原竹平で呼ばれても苛立ったりしていない。
 心境の変化?
 もしくは、名の訂正を求めたところで、聞き入れてくれる人が、奇人街にはほとんどいないせい?
 斯く言う泉も、竹平さん、で通し続けている。
 唯一、竹平の事をシン殿と呼ぶワーズは、当の彼から、未だ不気味に思われている始末。
 人間好きを豪語し、何かと世話を焼きたがるくせに、あんまり報われていない様子の店主は、そんな自分を嘆きもせずに、現在、朝食の後片付けに勤しんでおり。
「なー」
「あ、猫」
 ぼんやり雨を眺める泉の元に、影の靄を纏った小さな獣がやってきた。
 挨拶とばかりに座る足へ、頭と胴、尻尾を擦りつける。
 その度、ふわふわ影が綿のように舞ったなら、軽く弾みをつけて垂直に飛んだ。
 降り立ったのは泉が座る板で、ちょこんと腰を下ろしては、ぺろぺろ、自分の手や身体を毛繕い。
「そっか、雨に濡れちゃったのね」
 猫がつけた足跡、座る板に染み込む水を見た泉は、擦り寄られた裾に濡れた感触がないと不思議がる様子もなく、台所でふらふら動くワーズに声をかけた。
「すみません、ワーズさん。タオルか何か、拭く物貰えませんか?」
「んー? はーい」
 言って、こちらを見もせず、懐から取り出したタオルを放り投げる。
 先端が縛られたそれを見事にキャッチし、礼を述べてから、自分の膝の上にコレを広げた。
「猫」
「にー」
 呼べば心得てでもいたのか、忍ばせる足音もない猫が、タオルの上に座った。
 包み込み、タオルへ水分が移るように、軽く叩き撫でてやる。
 途端、空気の勢いに乗って影が幾つも舞い上がった。
 視界を覆うほどの酷さはないものの、やり過ぎると猫の身体が磨り減ってしまうのではないかと危惧する泉。
 けれど猫は気持ち良さそうに目を細め。
「みー」
 もう大丈夫、とでも言うように顔を上げては鳴いた。
 交わされる金の瞳に手を休めると、軽い重みが膝から退き、タオルを避けたなら、そこへ再び猫が訪れた。
 一段高い居間の床へタオルを置きつつ。
「猫……今日はお出かけしないの?」
「にー」
 高い声で肯定を示した猫が、膝の上で丸くなった。
 泉はその背に手をそっと置き、なんともなしに溜息一つ。
 しとしと降り続く雨の音を聞き、薄暗い店を見つめながら、昨日の話を反復する。
「孫、か……シウォンさんて、お祖父さんでもあるのね」
「にー」
「見た目が若いから、いまいちピンと来ないけど」
「にー」
「そもそも、あんまり考えた事なかったけど、他にもいるのかしら?」
「なー」
「ランさんとか、クァンさんとか。私が知らないだけで、実は子沢山、なんて」
「みー……」
 馬鹿丁寧に相槌を打つ猫の声が、段々、眠気を伴うモノになれば、くすりと泉の口元に笑みが浮かぶ。
「考えたって仕方のないことなんだけどね。奇人街の親子関係って複雑そうだし。元より私には――」
 猫の耳を軽く抓んだ。
 ひくっと動いた耳は、泉の指から逃れ、ぺたりと頭に張り付く。
 変わりに持ち上がった頭が、指を舐めたなら、泉は一瞬きょとんとしてしまった。
 まるで慰めるような動き。
 猫の一部を食した泉の考えは、少なからず猫に届く事を思い出し、次いで苦笑が浮かんだ。
 それからふと、思う。
「……そういえば、ワーズさんはどうなのかしら? 性別は疎い感じだけど、聞いた限りでは、子どもとか、ない話でもないだろうし」
 言いつつ、何やらモヤモヤした気持ちが生じてきた。
 他では幾ら想像しても、驚くだけだったのに対して、相手がワーズというだけで、想像さえしたくなくなる。
 何だろう、これ?
 眉間の皺となって表れ始める不快に、猫を撫でていない方の手が胸の前で緩く拳を作った。
 一体自分は、ワーズの何が気に食わないというのだろうか?
 彼に子どもがいても、別に可笑しな話ではない。
 見た目の年齢も竹平より上だし、何より生きてきた時間はシウォンに次ぐとさえ聞く。
 ならば――?
 ……子ども、じゃなくて、そんな風に想える相手が、ワーズさんにいる事が嫌?
「っ!」
 思えば、ぼっと火が点いたように染まる頬。
 見ず知らずの、いるかどうかも分からない相手に嫉妬しているなど、どうかしているとしか言い様がない。
 第一。
 ど、どうして? だって、ワーズさんから、好きな人がいたって聞いた時は、なんともなかったじゃない?
 今だって、思い出しても起こる不快は在らず。
 単に、過去形で語られたから、では済まされないワーズの想いは、計り知れないと知っているのに。
「それとも、そんな想いがあるくせに、ワーズさんに子どもがいるっていうのが気に入らない? いやでも、それこそ可笑しいわよね? 私が口を出すべきことではないでしょう?」
 自分への確認を取るため、泉は気づかぬ内に、思ったままを口にした。
 混乱の極みに達した彼女が、己の発した声に気づく、その前に。
「ん? ボクに子どもはいないよ? それ以前の話だからね。はい、泉嬢、お茶」
「あ、ありがとうございます」
 横合いからひょいと差し出される茶。
 黒い足が泉の座る板へ投げ出されれば、ズズズズズ……と啜る、行儀の悪い音を後ろに、受け取った茶を一口。
 じんわり広がる、熱くもなく、かといって温過ぎない風味を口一杯に堪能。
 こくり、喉を鳴らしたなら、安堵を招く茶は、身体へ染み入るように溶け込んでいく。
「ふぅ……」
 落ち着いた証とばかりに吐息が零れ。
「――ほわぇっ!? わ、ワーズさん、いつからそこにっ!?」
「たっぷり時間を置いてからの問いがそれかい?」
 茶を零さず、膝の上の猫を落とさない程度に仰け反る泉。
 迎えた赤い口の微笑みは、今一度、茶をしっかり啜った後で。
「ボクに子どもがいる、ってくだりからかな?」
「そ、そんなに前から……」
 顔を赤らめ右往左往、泉のこげ茶の瞳がぐるぐる動いたなら、今日も今日とて黒い帯締め姿のワーズは、長い裾の足を組む。
 ふんわりとした笑みを白い面に乗せながら。
「何がどうなってそういう話になるか、なんて、ボクには分からないけど、とりあえず子どもは無理。ワーズ・メイク・ワーズは存在が歪んでいるからねぇ。無茶苦茶な情報を注ぎ込まれたところで、相手が意味を解せなきゃ、受精もへったくれもないでしょ?」
「じゅ……」
 何やら比喩を用いたくせに、そこだけ露骨な表現をされた泉は絶句し。
「ああ、でも――」
 そんな彼女へ思案げに笑う男は、カップを掲げ、緩やかな傾斜を首につけて言う。
「君となら可能だよ、泉嬢」
 思わぬ爆弾発言。
 ………………………………………………………………………………へ?
 理解が遅れに遅れる中で、ワーズが何事もなかったかのように茶を啜る。
 つられた様子で、同じく茶を啜った泉は、まじまじと、普段はそれと気づかぬ中性的な美貌を見やった。
 今の言葉って、どういう風に受け止めるべき?
 代わり映えのしない口調で、今日は雨だねぇ、というくらい、極めて常識的な事を言われた錯覚に陥る。
 どう考えても普通じゃないのに。
 たとえ相手がワーズであっても普通とはかけ離れた、ともすれば、奇人街では意味が通じないセクハラか愛の告白か、紙一重に分類される状況だろう。
 他は駄目だけど、君なら良い。
 そう言われたに等しい台詞は、泉の行動を束の間停止させた。
 雰囲気ぶち壊しの、意地汚く啜る音と雨音が、絶妙な不協和音を奏で、店内にこだましていく。
 静寂とは言い難い沈黙。
 破ったのは、返しに困り抜いた挙句、別の話題を思い立った泉である。
 とはいえ、まるきり関係のない話題ではないだろう。
 ワーズの子ども、というキーワードで思い出したのだから、あながち間違いでもないはず。
 彼自身の感情はどうあれ。
「ええと、こ、子どもと言えば、緋鳥さんが前に言っていましたよね、ワーズさんの事、義父上様って」
「んー? ああ。そーいや言ってたね」
 てっきり不機嫌にでもなるかと思いきや、極々普通に応えつ、茶を啜るワーズ。
 半ば肩透かしを食らった気分で惚けたなら、鈍い苦笑が赤い口元を彩った。
「特に可笑しな所もない、簡単な話だよ。アレの父親が人間で、彼に頼まれたから、ボクは必要最低限の世話をしてやっただけ」
「ワーズさんが緋鳥さんのお世話を……」
「必要最低限の、ね」
 感心した面持ちで反芻したなら、すかさず付け足してくる。
 けれど、表情は依然穏やかなままで。
「あの頃はアレもまだ、合成獣の本性に引き摺られる前だったからね。そんなに苦労はしなかったんだけど」
 切った途端、一転して剣呑な気配がワーズに滲む。
「フェイ・シェンのヤツが面倒を起しやがったせいで、ボクにまでとばっちりが来てさ」
「フェイが?……そういえば、今日は来ないんですね」
 深まる陰惨な笑みから顔を逸らし、店の先を見やった泉はポツリと言った。
 これを鼻で笑ったワーズは、足を居間に引き上げると胡坐を掻く。
「雨だからね。アレの軟弱さはそこまでじゃないだろうけど、病気になるって心配するヤツが一緒なら、来なくて当然」
「それって、昨日ワーズさんが言っていた?」
「そう、アレの手駒。鳥人とは別口に過保護なヤツでね」
 話はここでお終いとばかりに、ワーズのカップが口元へ向けて大きく傾いだ。
 併せて響く啜る音に、泉は視線を前へ戻して、カップに口を付けた。

*  *  *

 昼食後も必要のない店番を続けていた泉は、思わぬ来客を受けて立ち上がりかけ。
 膝の上で再び丸くなっていた猫の感触を思い出したなら、身動きが取れずにわたわた動く。
 しかし相手は、接客のなっていない従業員を非難する様子もなく、ぷかり、包帯に隠れた口元から煙を吐き出した。
「やあ、元気ぃ〜?」
「こんにちは、エン先生。すみません、こんな格好で……って、大丈夫ですか?」
「え、何が?」
「何って、その、だいぶ濡れちゃっていますけど、包帯」
 相変わらずマイペースを貫き通す医者から、ぼたぼた滴り落ちる雨水。
 全く気にしていないエンは、白い衣の裾から覗く、やはり包帯で巻かれた白い手を持ち上げると、べったり濡れた頭を触った。
「あ、ホントーだぁ。濡れてるー。んでも、ま、いっか。どうせすぐに乾くし」
「えぇっ? 拭く物とか」
「いやいや。いらないよ。ほら」
 言って、自身を指差すエン。
 貫き通される呑気に対し、訝しむ目を泉が向ければ、包帯の隙間から蒸気が噴出してきた。
「わっ!?」
 驚き、丸くなっていた猫を庇うように抱き上げたなら、されるがままの影の獣はぺたりと泉の肩に手を掛けた。
 しゅーっと鳴る音が段々と弱まっていく。
 次いで蒸気が宙に霧散すると、後に残ったのは。
 凄い。マジックみたい。本当に乾いている……
 包帯としての機能を復活させた白を見、泉は呆気に取られて目をぱちぱち。
 ついでに、本当にこの医者は、どんな種族なんだろうと考えを巡らせた。
 聞くところに寄ると、奇人街は雑多に種があるため、全てを知る訳ではない泉に、正確な検討は付けられない。
 それでも、眉間に皺を寄せて悩み。
 最中、近づいた医者が、突然、身体を折り曲げて顔を合わせてくる。
 ぎょっとして仰け反りかければ、離れる前にがっちり顔を両手で挟まれてしまい、それ以上逃げる事は叶わず。
「んー……うーふーふーふーふぅ? お元気、かなぁ?」
「え、エン先生……?」
 「ふ」の数だけ、にじにじ近寄る包帯巻きの顔面に、泉の喉がひくりと鳴った。
 何やらいつもと様子が違う。
 深い付き合いではないが、自称・泉の愛人であるエンの性格は、程ほどに把握しているつもりだった。
 だが、今の彼は明らかに可笑しく。
「うぅん? ちょっと脈が速め?」
「や、確かにそうかもしれませんけど。エン先生こそ、何か、いつもと様子が違いませんか?」
 眼前の包帯の巻き目が斜めを描けば、ストレートに問うてみた。
 すると、きょとんとした沈黙を置き、顔と両手を離したエンは、人差し指を顎下へ押し当て考える素振り。
「私、違う?……あ、そうかも。丁度ねー、徹夜明けでねー、とぉっっっっっても、素敵な手術を終えた後でねー? なんだかふらふら心地良いから、お裾分けしたくて、スイのとこに来たのー」
「え……えと、スイ?」
 所謂、徹夜明けでのハイ状態というヤツであろうか。
 伸ばす音の度に、かっくんかっくん、左右へ振れる頭には慄きつつ、たぶん、泉を差していると思しき呼び名に首を傾げた。
 もしかして、私の名前、忘れてしまったのかしら?
 ふいに浮かぶ、ランの名前を一度もまともに言わなかった医者。
 しかして、当のエンはこくこく頷き。
「うん。泉・綾音にあーやってあだ名付けたけど、よくよく考えたら、これって名字でしょー? どうせなら、名前の方が良いかなーって思って。カルテに書いてあった、泉の字がねー、奇人街の文字の“スイ”に似てたから、スイでいいかなーって。駄目ぇ?」
 幾らか気落ちした様子で、エンが確認を取ってくる。
 駄目と告げれば、余計落ち込みそうだ。
 しかして、付けられたあだ名を拒む理由なぞ、泉には特になかった。
 問題があるとすれば、定着するまでに時間が掛かりそうというだけで。
 なので構わないと頷けば、「わーい」と両手を挙げてエンが喜んだ。
 若干高いキーで為される歓声に苦笑が漏れる。
 と。
「んじゃ、スイ、何かない?」
 挙げた腕を下ろし様、エンがこんな事を尋ねて来た。
 脈絡のない問い掛けへ、答えも探せずきょとんとしたなら、医者は自身の胸に手を当てた。
「変わったこと、気づいたこと、身体のこと。私が診られるのは外だけ。内側、感じ方は、君しか分からない。だから、何かあったら言って欲しい。抱え込まないで、出来うる限り」
「エン先生……」
 強制するでもない、穏やかな問いかけ。
 急に大人びた雰囲気を纏う、包帯の先で自分を見つめる、紫の瞳を思う。
 穏やかで、優しく――そしてどこか、痛ましく気遣う眼を。
 身体的な部分だけを見つめるのではなく、精神的な部分までをも見つめる、柔らかくも鋭い視線。
 エン先生は、何かを感じ取ったの?
 私の、中に。
 秘めるモノは、確かに泉の中にある。
 奇人街に来る前から、ずっと、彼女の中に在り続けている。
 一部だとさえ、言えるかもしれない。
 そんな秘密を、誰かに聞いて欲しくて、誰にも聞いて欲しくなくて。
 葛藤した時期は当に過ぎていたけれど、エンの言葉に束の間思い出してしまう。
 否定されるのが怖い。
 肯定されるのも怖い。
 第三者の立場から下される言葉は、どちらであっても、深く傷つくだろうと。
 違いはただ、傷を刻む相手が相手か自分か、それだけ。
 だから、泉は口を噤む事を選び――
「ちなみに私は今、とぉぉぉぉぉぉぉーっても、眠い」
「へ?――きゃあっ、エン先生!?」
 いきなり自分の不調を訴えた医者、泉がそれを理解する前に、まるで抱きつく格好で彼女へと倒れ込んできた。
 突っぱねた腕により、寸前で受け止めた泉だったが、器用にも煙管を咥えたまま寝入るエンの体重・体格は、見た目通りの成人男性そのもの。
「ぐ…………ううぅ……」
 歯を食いしばり、どうにかエンの身体を、自身が座る横の板へと移動させた。
 重みに潰れた息が解放を得たなら、膝上から声。
「にー」
「猫……こういう時は、助けてくれないのね」
 いつの間にか膝に降り、再度作った円の中で、返事の代わりに大きく口を開けて欠伸をする猫。
 愚痴った泉は溜息を零し、はたと気づいて居間を振り返った。
 人間好きの人間外嫌いである店主が、店で眠り出したエンに対し、何か文句を言うのではないか。
 もしくは、何かしらの実力行使をするのでは?
 思い――けれど。
「ん? どうかした、泉嬢?」
「い、いえ……」
 先程のやり取りを見ていなかったらしい店主の手元を見、泉の顔に愛想笑いが浮かんだ。
 視線をゆっくり前へ戻しつつ。
 今、ワーズさんが縫っていたのって……べ、ベビー服?
 もう一度確認する勇気も、尋ねる度胸もない泉は、ワーズがちくちく縫っていたモノの正体を明かさぬよう、店先の雨に集中する。
 高揚混じりの緊張に、身体を火照らせながら。

 

 


UP 2009/9/26 かなぶん

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