人魚の章 十

 

 進めど進めど、等間隔に青白い街灯が続くばかりの路。整然と並ぶ倉庫を右、柵を左に歩き続ける泉は、街灯の明かりを抜けたところで振り返った。
 だいぶ遠ざかった……はず。
 依然として近づかない、街の賑わいを示す前方とは違い、人気のない工場地帯か埠頭を思わせる風景は、距離を測るには適していない。
 それでも、歩き続ける足には疲労感が確かに蓄積しており、抜け出した倉庫からは確実に離れていると自分に言い聞かせる。――人にはない運動能力を持つ人狼相手では、ほとんど距離を稼げていない事実からは目を逸らしつつ。
 無事、シウォンのいる場所から脱せた泉だが、待っていたのは、どこまで行っても変わらない、瓦屋根と石壁の倉庫、光量の乏しい街灯、広く見通しの利く石畳の路だった。
 そこから柵の設置された端まで来て分かったことと言えば、この場所が奇人街の中でも高所にあることと、街の賑わいから遠い位置にあること、そして何より、芥屋の看板が見当たらない、ということ。
 店の規模に反して大きい芥屋の看板は、木彫りの字を何故か青白い光でライトアップしており、芥屋自体が周りより高い位置にあることも手伝って、何かと目立つ。建物の陰から見上げるならともかく、見晴らしの良い高所から見えないのであれば、それはつまり、芥屋が近くにないことを示していた。
(気を失ったのが、たぶん、夕方前。目が覚めたのが夜。少なく見積もっても、そこそこ時間は経っている。けど、車がない奇人街なら移動はきっと徒歩。普通ならそこまで芥屋から離れてはいないはず、なんだけど……)
 泉が想定する「普通」は、あくまで元居た場所のことであり、人間基準。芥屋の物置のような移動手段や人狼がいる奇人街では、この「普通」は通用しないだろう。
 果たしてここは、芥屋からどのくらい離れているのか。このまま無事逃げおおせたとして、芥屋に着くまでどれくらい時間がかかるのか。
(か、考えないようにしよう。今までだって、なんとかなったんだから!)
 元々、縦横無尽、変則的に路が敷かれた奇人街である。その上、種類豊富な住人が暮らすくせに、建築様式はどれも似通っていて、目印にできそうなものはほとんどない。
 そんなところを闇雲に逃げ回った記憶しかない泉は、最終的に芥屋へ辿り着いた経験だけを頼りに、全く説得力のない希望で己を鼓舞する。
(まずはここを離れなくちゃ。あの人だって、いつまで寝ているか分からないんだから)
 意気込み、目下の問題を頭に浮かべて一歩踏み出す。
 と、
「っわ」
 考えに集中していたせいか、石畳のでっぱりに爪先が引っかかった。
 辛うじて倒れることはなかったが、思わず上げた声を両手で封じ、来た路を再度見る。
 何一つ変わらない景色が泉の焦げ茶の目に映った。
(危ない危ない。……それにしてもあの人、なんだったのかしら?)
 シウォンの目的は彼自身から聞いた。それを拒んで泉は今、ここにいる。
 だが、攫われたはずの足には、気を失う直前には履いていなかった、縁に綺麗な金の刺繍が施された白い靴があった。十中八九、シウォンが履かせたのだろうが、逃げないように両手両足を縛りつけておきながら、わざわざ靴を履かせる意味が分からない。
(ま、いいか)
 考えたところで現状が良い方向へ働くわけでもない。
 一人で夜の奇人街を歩く羽目になったのだから、元凶のシウォンへ礼はないが、靴があるのは単純にありがたかった。泉のために用意された靴は、サンダルや分厚い靴下より、遥かに歩きやすい。
 ささやかな幸運を見つけ、少しばかり勇気づけられた泉。
 歩みを再開すれば、ふわりと嗅ぎ取る匂い。シウォンのところで嗅いだのと同じ焼き肉の匂いは、今も泉の周り、いや、周囲に漂っていた。それらしい光景はどこにもないのに、香ばしく、食欲をそそるソレに、思い浮かぶのは黒一色の姿。
(……ワーズさん、今頃晩御飯食べてるのかなぁ)
 くぅ、と肯定するような腹の音が鳴った。
 楽しそうに食事をする姿を浮べては、ほんの少し寂しくなる。
 泉はチクリと痛む胸の変わりに腹を押さえると、知らない路を進んでいく。
 もちろん、都度芥屋の看板を探すことも忘れず、延々歩き続けること幾ばくか。
 陳列する倉庫が途切れた路を見、とりあえず同じ景色が終わったことにほっと息をつく。
 ――と、不意に自分のモノではない足音が聞こえてきた。
 それも突如として、すぐ近く、前方から。
 慌てて目をこらすが、倉庫と同じ間隔で設置されていた街灯は更に乏しくなっており、こちらの姿を隠す一方で、足音の正体も明かしてはくれない。
 真っ直ぐ向かってきている様子はないが、恐怖から勝手に後ずさる足。
 すると、足音の主がぴたりと動きを止めた。
(気づかれた!?)
 すぐさま口を手で覆い、目に入った倉庫の陰へ入り、身を縮めるようにうずくまる。
 呼吸を止めたせいか、必要以上に聞こえる心音が何より恐ろしい。鼓動があるからこそ生きていられるのに、その振動のせいで相手に気づかれてしまうのではないかと危惧する。
 見開いた瞳が徐々に乾き始め、失った水分を補うべく、涙が視界を歪め始める。
 その間に、見当をつけたと思しき足音がこちらへ近づいてきた。
 弱々しい街灯の下まで来た足音の主は、一度足を止めて辺りを見渡した。
 露になった姿を認め、泉の息が一層詰まる。
 そこに佇む姿は、紛れもない人狼だった。
 それも、特に関わり合いになりたくない手合いの。
 怒り肩の体躯は筋骨隆々で、着用している服がはち切れんばかり。太い腕は泉の腰ほどあり、地につく足もどっしりした重さ。人狼特有の鋭利な爪は黒く、全てを切り裂いてもなお欠ける気配を感じさせない。パーツ一つ一つが目を引きながら、それを殺さないバランスの良さは、高い背のなせる業か。
 上に収まる頭も、そんな身体に見劣りしない凶悪さがあった。
 剥かれた牙はどれも白く鋭く、血に餓えた眼は闇に在ってなお鮮やかに周囲を見下し、張りつめた耳は些細な音も聞き漏らすまいとしているようだ。
 醜悪とは異なるが、一目見て、本能的な恐怖を呼び起こすほどの相貌。
 シウォンが金も力もある嫌味な色男だとするなら、この人狼は血に飢えた獣そのもの。
 ごくり、干からびた喉が鳴ろうとするのを必死で止める。
 早く去ってと祈る気持ちで、おぞましい姿を目で追えば、視線がこちらへ向けられた。
 射抜かれ、呼吸が出来なくなる。
 それでも建物の影、見えることはないのだと言い聞かせる。
 しかし、人狼はそんな泉の願いを嘲笑うように近づいてきた。
 一層青褪めながら、アレは己の姿を見つけたわけではないと、儚い願いを抱くが――
 分かっていた。
 その目がしっかりと泉の目を捉えていることに。
 この場合、誰を思えば良いのか。
 奇人街の誰もが恐れるという猫か、問答無用で全てを斬り伏せる史歩か。
 けれど、泉の頭に浮かんだのは、何の因果か、目前に迫る人狼相手に何ができるとも思えない、黒一色の白い面、血色の笑み。
(ワーズさん――!)
 お守りのようにその名を心の中で叫び、迫る恐怖から目を閉じ身を竦ませる。
 あと数歩の距離。
 最後に見た光景から読み取る、見つかるまでに残された時間は僅か。
 だが、いつまで経っても伸ばされる爪はなく、荒げられる声もない。
 もしや、目が合ったのは錯覚で、やはりこちらを見つけてはいなかったのではないか。すでに立ち去っているのでは……?
 降って湧いた一縷の望みにかけ、気力を振り絞って顔を上げた泉。
 件の人狼は――願い虚しく目の前に留まっていた。
 思わず上がりかける悲鳴。だが、どこか様子がおかしいことに気づく。
 確かに人狼との距離は近いまま、しかしその目は先ほどとは違い、こちらではなく街灯、あるいはその先を睨みつけていた。
「……くっ」
 容姿からは想像できない、やけに若い声が忌々しく噛み締められた牙から漏れる。
 と、目の前にいた人狼の姿が忽然と消えた。
 それが倉庫の屋根へ跳躍した結果と気づく直前、かしゃんっ……と物が割れる軽い音と共に、上から硬い物が落ちてきた。
「ひぃっ!?」
 人狼を探すことで察せた、直撃しそうなソレ。間一髪で転がり逃げた泉は、そのまま振り返ると、先ほどまで自分がいた場所を仰ぎ見た。丁度、真上に位置する屋根縁の瓦が、数枚なくなっているのを目撃する。
「…………し、死ぬかと思った……」
 見て理解した危機に、そんな感想が遅れて出てきた。
 と、いきなり街灯の明かりが遮断された。
 何……と思う暇もなく、飛びついてくる人影を認識するが、避けられるほど遠くにはおらず、
「おおっ! 我が娘! 会いたかったぞぉ!! おじさん好みの子には逃げられたが、君がいるなら我慢しよう!!」
「ぎゃーっ! き、キフさんっ!? さ、酒臭っ!!」
 押し潰された挙句、身を起こすと同時に赤毛の中年に抱き締められつつ頬ずりされて、泉の顔色が真っ青になる。
「き、気持ち悪いです! 放してくださいっ! 髭痛い!」
「ああっ、いつもながらつれないんだね、お嬢さん!! いやしかし、それでこそ我が娘っ!」
「いやあっ! あなたの娘になんかなった覚えありません! やめてください、離れてください、いえ、それよりも!!」
 ぐっと拳に力を入れて打ち込めば、「ぐふぅっ」と呻いて胸を押さえ、縋る腕から十歩ほど退いた。猫を求めたいつかの日と似た力を感じた左の拳は、あの時以上の威力を見せて、紳士ぶった成金紛いの格好を悶えさせる。
「うぐ……な、なかなかの成長っぷりだ、お嬢さん。おじさんが教えられることはもう、何もないっ……!」
「勝手な世界に浸らないでください! そ、それよりここって――」
「……うえぷ……ちょ、タンマ、お嬢さん…………は、吐く」
「え……えええええええっ!? ま、待ってください、ここ、袋とかないですよ!?」
 青白い街灯よりも蒼白に染まった顔が、赤い髪の下の濃ゆい相貌に宿っている。今にも吐瀉されそうな膨らみを頬に持ち寄り、口を両手で覆いだしたキフをどうしたものか分からず、泉は意味なくわたわたする。
「ぶ……げ、限界…………」
「ひえっ!? キフさん、そこはっ…………川?」
 道端で酔いどれの落とし物なぞ広げないで、とドン引きの泉だったが、キフが身体を柵に引っかけた際、小石が落ちたような水音を聞いて我に返った。
 ――のも、束の間。
「うっ」
 ――――――――――――――――――――ぇうぷっ……
 どれだけの物を詰め込んでいたのか。
 判別しかねる音と、追いかけて上がる水の無上な響きが、泉の耳を不快にさせた。
(…………唯一の救いは、ニオイが感じられないってことだけね)
 青い顔と白い目で、キフのあられもない後ろ姿を眺めていた泉だったが、その背が苦しげに咽ると、慌てて擦ってやる。

* * *

 柵を背に、たっぷりキフとの距離を置いた泉の服は、朝焼け色からくすんだ白いシャツへと変貌を遂げていた。
「いや……すまないね、お嬢さん。おじさん、本当……」
「……もういいですよ。酔っ払いなんて……。まともに心配するだけ無駄って分かりましたから。ですから――」
 キッと目を吊り上げ、柵にもたれてれてうずくまる中年の、その顔を睨みつけて吼えた。
「いい加減、人の服で口拭くの止めてくれませんか!?」
「いいじゃない。汚れちゃったんだしぃ」
 身をくねり、分厚い唇を突き出したキフは、吐き出した不快を拭うために汚した朝焼けの衣へ、白くなった顔を埋める。対する泉は、この光景に全身を粟立たせ、両腕でしっかり自分の身体を抱き締めた。
「汚れたんじゃなくて、汚したんでしょう!? 急にしゃがみこんだから、こっちは本当にびっくりして心配したのに! 裾掴むから、すっごく辛いんだなって思ったのに!!」
「うぅ……お嬢さん、もう少しトーンを落としてはくれまいか。酒は大方吐いたが、まぁだアルコールの後遺症がおじさんを直撃してだね……」
「自業自得です! 呑んだら吐くな! 吐くくらいなら最初から呑むもんじゃありません! 人の裾汚した挙句、服剥ぎ取って……。ワーズさんの言葉通り、変態じゃないですか!」
「むむむ……。そこで店主の名が出てくる辺り、おじさんとしては非常にビミョーなんだが……いや、そもそも服はお嬢さんが勝手に脱いで」
「やめてください。人を露出狂みたいに! 心外です! 大体、どこの世界に人の吐いたモノ付いた服、嬉々として着続ける人がいますか!」
「いやいや、分からないよぉ? 世界はなんたって広いからねぇ。もしかしたらそういう類の輩が幾人も」
「碌でもない想像しないでください。って、言ってる側から拭わないで、もう捨てて!」
 最後にはヒステリックに叫ぶ泉。
 それでも構わず泉の服へ顔を摺り寄せるキフは、えもいわれぬ溜息を吐いて後。
「はあ……お嬢さん、なかなかイイ匂いがするねぇ、この服」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 ぞわわわわっと這い上がる悪寒から、泉は咄嗟に地面へ目を走らせるが、手頃な凶器は石一つ見当たらない。有り余る害意を持て余し、結い上げられた髪を掻き乱そうとした手に、硬質な感触が触れた。
 歪な形をずるり引き抜けば、弱々しい街灯の下でも精巧な細工と華やぐ色彩の宝石が判別できる、優美なかんざしと分かった。あまりの美しさに一瞬止まる思考だが、人を抱き枕扱いした人狼がもたらしたモノと思えば、これほど最適な凶器はないだろう。
 そのまま、キフへ投げつけようとした矢先。
「う〜ん、そそる匂いだねぇ。この色香混じりの男臭さは、シウォン・フーリのものだろう? やるね、お嬢さん。その調子じゃ、奴のところから無事逃げおおせた――――って、ああっ!?」
「へっ? あっ、いや、あの、これは」
 今まさに投擲しようとした凶器を指差され、慌てた泉は背後に隠そうとするが、それより早く、キフが酔いを感じさせないスピードで手を掴んできた。
「わっ、汚い!」
 反射でそう言う泉へ、キフは少しだけ顔を顰めて言った。
「ちょっぴり酷いぞ、お嬢さん。おじさんのお手ては、口と違ってとっても綺麗なのに」
 確かにキフの手は、拭いたところで汚れの残る口元より綺麗だが、直で肌に触れられたなら言いようのない怖気が走る。そんな思いのまま身を捩って嫌がれば、キフが更にショックを受けつつ、かんざしを奪ってきた。
「あ」
 美しかろうが執着のない品。
 それでも拍子で上がった声に対し、中年は珍妙な表情を浮かべ、泉の身体が硬直した。呆れとも怒りともつかない、普段のおどけからは想像だにできない、不可思議なソレ。
 けれど一瞬のこと。
 見間違いのような顔つきから一転、かんざしを興味深そうに眺めるキフ。
 戸惑う泉を余所に、角度を変え、街灯の反射を楽しむ風情で「ふむ」と数回繰り返す。
「シウォンから、かね? 実にあの子好みのデザインだ。しかもお嬢さんに非常によく似合うな。……逆を言えば、お嬢さん以外が付けるのはあんまり好ましくないほどのオーダーメードっぷり」
「はあ……」
 デザイン一つで誰がかんざしを寄越したか分かるキフの、数値を計るばかりではない青の慧眼を知って、泉の口から感嘆の息が零れた。
 が、次の瞬間。
「とおっ!」
 何を思ったのか、キフがあらぬ方向へかんざしをぶん投げた。
 一度だけ、放物線上をきらりと煌いたかんざしは、闇に喰われ、遠く水音を響かせる。
 突然のことに、寸前までこれを髪に挿していた泉は、
「うわ……、もったいない。売ったらイイお金になりそうだったのに」
「お嬢さん……」
 柵から身を乗りだして残念がれば、キフが感心した口振りで言う。
「こういう場合、おめでとうと言うべきかな? ずいぶん、街に染まっちゃったみたいだねぇ。仮にも贈り物でしょ、あれ。売ったらって」
 言われた内容を理解するのに時間を要し、気づけば全力で否定する。
「えっ!? そ、そんな染まるなんて全く! 心外です! 別に私、自分のためにお金欲しいとか思ってません! ただ、お世話になってる分、芥屋の足しにと。あ、あのかんざしだって、言ってみれば迷惑料みたいなもので」
「貢がせた物で金を作り、本命に投じる、か。……うぅーん、お嬢さんて意外に悪女ね?」
「み、貢がせ、本命――――って、私、ワーズさんのこと、そんな風に!」
「ほうほう。おじさん、店主とは一言も言ってないけど?」
 にやにや底意地の悪い笑みを浮かべるキフへ、泉は酸欠の金魚よろしく口をパクパクさせるばかり。何も言えないでいる彼女を追いつめるが如く、キフは更に重ねる。
「猫もいるでしょう、芥屋には。お嬢さんは猫に気に入られている節があるし、あの子の助けは甚大だろう? それが何の因果か、出てくる名前はあの店主。いやぁ、世も末だねぇ」
 しみじみ語る様から出せる反論もなく、好奇の目から逃げるように、ぐるりと回るこげ茶の眼。
 対抗する術のない頭は、無意識に掴まれた手を擦り、はたと別の話題を浮べた。
 あの時掴まれた手は、自分ではなく相手のモノで、その手はかんざしのように泉によって投げられ、水音を上げた――――
 今になって、芥屋を目指していたことを思い出す。
 そして目の前にいる中年は、奇人街の住人で、場所を尋ねるのには格好の相手。
 けれど、極力一緒には歩きたくない、言動に一々セクハラが入る変人。
「あ、あのキフさん?」
「うん? 何かね、お嬢さん。改まっちゃって」
 にこにこ泉の言葉を待つ風体に、ほっとする。
 詮索する目は好きじゃない。
 それはどこにいたって同じこと。
 だからこちらも笑んで、尋ねてみた。
「ええと、ここから芥屋までってどう行けば良いんでしょうか? もしくはラオさんのいる――」
「…………ラオ……?」
 低い、身を竦ませる音が響いた。
 小さな音量だが、明確な、地を響かせる怒号の如き迫力。
 それがまさか、おちゃらけた中年から漏れたとは到底思えず、泉は不審に思ってキフを伺い、
「!」
 眼前、冷ややかな青い目と不鮮明な無表情に迎えられ、身を凍らせる。

 

 


UP 2008/8/4 かなぶん

加筆・修正 2020/09/29

 

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