人魚の章 五
朝の凪海を前にして、炎を纏う鬼火が一人。
芥屋ご近所さんのパブ経営者、クァン・シウだ。
艶やかな唇をひと舐め、空色の瞳を鮮やかに輝かせるクァンは、穏やかな海面を忙しなく撫でていく。
「さあ来い、グズ共。今日も燃やしてやるわ……」
野暮ったいジャケットの下では、薄いドレスに包まれた豊かな肢体がちらつくものの、ヒールの低い白靴で、砂が舞うのも厭わずリズムを刻み続ける様は、纏う炎がなくとも近寄りがたい気迫を放つ。
今日は酷く夢見が悪かったクァン。
うさばらしに一因である魚を燃やしに来たのだが、待てど暮らせど出てくる様子はない。
だが、来ないはずはないのだ。
今までだって、夢見の悪い日には必ず、目的の魚は姿を見せたのだから。
いっそ海ごと燃やせたら――
そんな魅力的な発想に、ついついクァンの唇が剣呑に綻ぶ。
(来い、来い、来い、来い!)
ゆっくり腰を落とし、指を波のように動かして獲物を手招く。
すると、その耳に音色が届いた。
(来た!!!)
勢い任せにぐるりと鬼の形相を向ければ、今まで誰もいなかったはずの砂浜に、見知らぬ少女が海へ向かい、初めて聞く歌を口ずさむ姿がある。
(見たところ、人間のようだが……)
一瞬魚が化けたのではないか、と疑うが、それにしては様子がおかしい。
クァンの知る憎き魚は、目的を決めたら脇目も振らず一直線に進むのが常。こんな風に立ち止まり、歌を奏でる優雅さはない。
しばし考え、少女が見つめる海を振り返った。
近くでは波が泡立ち、遠くでは地よりも平らな海面が広がるばかり。
どこにも、探し求める魚の姿はない。
苦々しい溜息を一つ吐き、少女に近寄る。
危険な炎は消し、額の小さな角を見せ付けるように、足元まで伸びた長い白髪を掻きあげ、いつもの気だるい調子で尋ねた。
「ねえ、アンタ、どうしたんだい?」
「……連れとはぐれてしまったの」
歌を止めてはぼんやりと、海から目を逸らさず応える少女。
茫然自失。そう表すのが妥当か。
近づいたことで分かった、少女の手に巻かれた包帯が痛々しい。
こんな状態でこのまま置いていけば、間違いなく良からぬ輩にかどわかされてしまうだろう。長い黒髪と黒い瞳を持つ少女の容姿は、想像に拍車をかけるほど美しい。
儚げな少女に保護欲をかきたてられる一方で、クァンは、ふむ、と胸内で試算。
「ね、ここにいたって連れは見つからないだろうからさ、うちに来て探さないかい? アンタの歌、使えると思うわよ?」
(あの子には劣るとしても、ね)
浮かんだ褐色の髪の少女に現を抜かせば、目の前の少女がのろのろとこちらを向く。
同族とは違う容姿に怯える余裕もないのか、変化の乏しい声音で、
「見つかるかしら?」
「ああ、見つかるさ」
(根拠は全くないがね)
それは決して口に出さず、クァンは少女に微笑みかけると、手を差し伸べる。
* * *
芥屋店側でガラス戸を背に、縛るのを止めた褐色の髪を避けつつ、お手本のようなクセのない書体と睨めっこするのは、鳳凰の刺繍が施された白い衣服の泉。
眉間に皺を寄せ、しばし考え込んでは、
「さっぱり分からないわ」
熱くなった頭を冷やすように、深々とため息をついた。
泉が手にしているのは、ワーズに書いて貰った、芥屋の主だった食材の料金表。規則正しく三列に分けられた内容は、左が品名、中央が分類、右には値段が書いてある――とワーズから説明を受けていた。
とはいえ、値段は泉の知る数字であるものの、その他に用いられているのは、奇人街で一般的に使われている、漢字が変形したような文字。一応、文字の意味するところは大差ないようだが、なまじ似ている分、読み取るのに時間が掛かってしまう。この紙一枚だけでも、覚えるには根気と慣れが必要だった。
(……よし、もう一回)
再び料金表へ意識を集中させる泉。
いつもの芥屋であれば、こんなにも努力を見せる人間には、店主からの助言――という名の横槍が惜しみなく入るところなのだが、店にいるのは泉だけ。ワーズの黒い姿は、彼女が背にする磨りガラスの向こうにある。
それもこれも、昨日、凪海で保護した少年を介抱しているためだ。
未だ目を覚まさない少年だが、幸いにしてコレという外傷はなかった。だというのに、一夜明けても何故目覚めないのかと言えば、ワーズ曰く、身体がこの世界に馴染んでいないから、らしい。
理解しかねる話だが、その後の少年の待遇を見てしまった泉としては、正直、すぐに目覚めなくて良かったという感想しかない。行きと違い、凪海からすんなりと芥屋二階に通じた物置の扉。これを訝しむ間も与えられず、冷えているからと少年に対してワーズが次々講じた策は、己の身に起きなくて良かったと思うものばかり。
今もって磨りガラス向こうのソファの上に、何枚もの布団でぐるぐる巻きにされ、うなされている少年に、泉は心の中でそっと手を合わせていたものだ。
――もちろん、自分が芥屋で目覚める前のことについては、しっかり目を逸らしつつ。
そんな心情も手伝って、余計なことは考えまいと必死に文字を追っていれば、前触れもなく、料金表が引っ張り上げられた。
「ぉあ、いらっしゃいませ……」
反射的に、顔を上げた先へ挨拶を告げる泉。
そこにいたのは、料金表を見やるしかめっ面の白い衣の美丈夫と、彼の左右にしなだれながら、からかう笑みを向ける薄衣の美女が二人。冷やかしだとしても、食材店より宝飾店の方が似合いそうな顔ぶれだ。
本当に客なのか。
顔には出さず不思議に思う泉だが、男の尊大な態度に、非常に不味い場面に出くわした、シウォン・フーリとかいう名を思い出す。
「ええと……ワーズさんに御用ですか?」
「あらまぁ、失礼な従業員ですこと。フーリ様が店主に用なんて、ある訳ないじゃない?」
答えたのはシウォンに侍る女の一人。
ブロンドの髪にエメラルドの眼が、完全に泉を見下していた。もう一人、シウォンの陰から紙面を覗こうとしていた、赤い髪に薄茶の眼をした女も、同調するように泉の全身へ嘲りを向けてくる。
嫌な視線だ。だが、目の前の二人と張り合える自信など元よりない泉。それでも身じろぎしたくなるのは、凪海での散歩を中断した身体が、今もってふくよかに感じられるため。あのワーズでも気づいたぐらいなのだ。初対面とはいえ、この女たちなら気づくのは容易く、その後は格好のネタとして扱うに違いない。
そこまで考えが至ったなら、じっとしているのが得策と、泉は不躾な視線に耐える。
と、甘ったるい声が発せられた。
「ふぅん? まずまず、かしら? だけど、あと少しね。百点中……三十四点てとこかしら?」
ずいぶん合格点の低い点数付けに、(頭悪そう……)と一瞬でも思ってしまった自分を叱咤しつつ、この中で決定権がありそうなシウォンの出方を待つ。
用がないならとっとと帰って欲しい。
本音はひた隠し、営業用の愛想笑いを引きつらせる。
すると、二人の女は口々に「何あの変な顔」「不細工な笑い」と指差し、下品な笑い声を上げた。
内心で、早く帰れ! と歯噛みする泉。
それでもどうにか表面の笑みを崩さず頑張っていれば、ようやくシウォンが料金表から顔を上げた。
「相っ変わらず、芸のない文面だな?」
鼻で笑い、そのまま泉の隣へ座ってきた。女たちも心得たように、直前まで嘲笑していた泉を除ける真似はせず、立ったまま、あるいは地べたに座ってシウォンに寄り添う。顔には、これから面白いお芝居が始まるのだと、期待する笑みを浮かべながら。
あまりの居心地の悪さに、泉が立ち上がって離れようとすれば、問答無用で腕を引かれ、戻された尻が強かに踏み板を打つ。
苛立ち、文句を言おうとした泉だが、迎えた至近には鋭い緑。射殺すようなそれに、喉がヒクリと鳴った。
「さて……お前はどうして欲しい?」
「は?」
絡めとるような甘い低音だが、意味を図りかねては思いっきり眉を寄せた。
これにはシウォンらの方が驚いた素振りで、クツクツくすくす笑う。
まるで身体は違っても同じ意思で動いている生き物のようだ。
じり……、と少しだけ身を後ろへ引けば、気づいたシウォンが身を乗り出した。
誘う吐息で唇をくすぐりながら、
「逃げるな小娘。このシウォン・フーリが直々に誘ってやってるんだ。黙って従うか、無駄な抵抗をするか、選ばせてやる」
「い、意味が分からないんですけど……?」
「まあ、察しの悪い従業員ね? フーリ様はアンタを御所望なの。ありがたいことよぉ? このお方は陽のある内じゃ、滅多にお目にかかれないんですからね? しかもアンタみたいなおチビちゃんを、わざわざ迎えに来てくださるなんて」
「ホント、末路はどうあれ、羨ましいったらないわぁ」
媚に磨きをかけた声音がシウォンの背後から漏れてくる。
(……前に来た時も、陽のある内だったんですけど)
言ったところで仕方のない反論を胸内に、困惑を重ねて更に引くと、首に左手が這わされた。ぞくりと粟立つ肌から顔だけ仰け反らせれば、逆の手に左腕を取られ、導かれるまま身体が引き寄せられる。
首にあった左手は、いつの間にか泉の頬を優しく撫で、ごく自然に近づく美貌。
不遜な態度が欠片もない、真摯な愛を語る目に囚われる。
為す術なく、暗示に掛かったかのように、泉の意思とは関係なく招かれ――――
「うわあああああああああ!!? な、何やってんだ、貴方は!?」
聞き知った情けない叫びに、柔らかい拘束を受けたまま顔を逸らせばランの姿。
声を掛ける前に艶かしい感触を左の顎下に感じ、ゾワリと這い上がった悪寒から、自由な右手を思いっきり打ちつけた。
ぱんっ
景気の良い音に自分でも驚きつつ、背けられたシウォンの顔に解放を得、幾分緩まった拘束を振り払って離れた。
女たちが何事か罵声を浴びせてくるが、知ったことではない。
おまけにもう数歩離れれば、間に青い着物の背が割り込んでくれた。
途端、女たちの声が色めき立つ嬌声へと変貌を遂げた。
合わせてビクンッと大きく揺れる背中だが、泉を置いて去ることはなかった。
「し、シウォン……貴方、本当に何やってんだ? 今は真昼だぞ? 本来なら、貴方は寝てる時間帯じゃないか。さ、誘うにしたっていつもは夕方近くまで来ないはずなのに」
「ラン……お前は俺を管理でもしているつもりか?――ああ!?」
轟音。
何事が起こったのか判別する前に砂埃が舞い、数度咳き込む。
口を覆い、涙目で確認すれば、シウォンの目の前にあった鮮魚箱が、外へ一メートル以上、斜めにずれていた。
息を呑んで元凶と思われるシウォンを見ると、立ち上がった姿で片足を納めるところ。
重量のある鮮魚箱を人間が蹴ったところで、自身の足を痛めるだけのはず。
では、シウォンというこの男、姿通りの人間でなく――人狼?
緑の眼がランを射抜くように睨みつける様に、察した事実から一歩下がった。
これに気づいたシウォンの眼が、泉を捉えては凄惨に嗤い、何事か語ろうと開く口。
だがそれは、薄く開いたガラス戸の音に阻まれた。
「……シウォン? なんでお前がここにいるのかな?」
「わ、ワーズさん……」
先程のシウォンの暴挙から、どう贔屓目に考えても、打開策が得られるわけでもないのに、黒コートの姿を見ただけで不思議とほっとする。
そんな泉が視線を戻せば、逸らされていなかったシウォンの、忌々しげな表情が迎えた。
「ちっ……邪魔が入り過ぎだ。今日のところは引いてやるが…………小娘!」
「は、はい!?」
低く唸る声に身が竦み、必要もないのに良い返事をしてしまった。
褒めるようにニヤリと嗤ったシウォンは、右手の甲で泉が叩いた頬を拭う真似をする。
「覚えておけ。この礼は必ず、返してやる」
「は……はぁ?」
間の抜けた返事は聞こえなかったらしく、颯爽と去っていく背。
その後を暴挙に怯えた女たちが慌てて追いつつ、ランを見てはウインクや投げキッスを艶かしく、泉を見ては首を水平に払って舌を出す。
嵐の如く過ぎ去っていった三人をしばらく見送る泉。
すると、カチャ……という音が耳に届いた。
そちらへ顔を向けたなら、ワーズがこちらに銃を向けているのに気づく。
驚きに開かれる目。
知ってか知らずか、
「……泉嬢はこっちに来てね?」
へらりと赤い口が笑い、言われるがまま近づき、微動だにしない銃の先を見、慌てた。
「ワーズさん! ランさんは助けてくれたんです! そういうことしないでください!」
泉はワーズの右手をぐいっと下へ引っ張ると、銃口の先に自分の額を持っていく。
こうなると、慌てるのは泉ではなくワーズの方。
「うわ、泉嬢、危ないって! 幾らワーズ・メイク・ワーズの射撃の腕がヘボだからって、この距離で君が支えてちゃ、どんな間違いが起こるか!」
「じゃあ下げてください! ランさんは恩人なんですから!」
何の恩人か問われれば返事に窮するが、それでも助かったという思いは大きい。
なればこそ、上に引っ張ろうとするのを全体重をかけて押し留めた。
この時ばかりは、若干でもふくよかになってしまった身体へ涙ながらに感謝しつつ。
* * *
思った通りというか、人狼であったシウォンと女たち。
内、シウォン一人が蹴りでずらした鮮魚箱は、同じ人狼であるランにしか直せず、恐縮する泉に対して何故かワーズが「構いやしない」と笑う。呑気な様子に戸惑っていれば、ランの方が逆に恐縮し、冴えない顔に苦笑を浮べて「気にしないで」と頭を掻いた。
訳ありの風体に首を傾げていると、ワーズが泉を居間の椅子へ招く。
どうしたものかと迷ったが、店にいたところで手伝えることは何もなく、かえって邪魔になりそうだと示された席へ座った。
招いたワーズ自身は、泉の前で中腰になって尋ねる。
「泉嬢、何かされた?」
「あー……顎下に」
指で妙な感触があった箇所を示せば、ワーズがため息と共に首を振る。
「やーれやれ。あの変態、また懲りずに……待ってて泉嬢。消毒するからさ」
「しょ、消毒?」
悪寒は走ったが、そんなに物騒な代物と思わず、ごそごそコートを探るワーズを凝視した。
「よっ」
掛け声一つ、手品のように綿と薬瓶を取り出し、じゃばじゃば中身を綿に掛けては絞る。一度払ってから左手で泉の頬を押さえ、問題の箇所を銃を持つ手で器用に丹念に拭いていく。
シウォンの撫でた右頬の熱が、ひんやりとした手の温度に薄まるのを、少しくすぐったく感じる泉。反面、綿で擦られる顎下は、段々と痛みに変わっていった。
「わ、ワーズさん、そろそろ痛くなってきたんですけど?」
「ん……んー?……よし、これくらいで良いかな?」
はいお仕舞い、と離されてようやく触れた箇所に残る、痛みと熱。
血が滲みそうなほど赤くなっている気がする。
馴染ませるように数度撫でながら、また手品の如く出した物を片付けるワーズへ。
「あの、そんなに危ないんですか、さっきの……」
「危ない、ってモンじゃないね。毒だよ、毒。大抵ボクの姿が見えないとこで、従業員の娘に手を出してさ。信じられるかい? たった一回、キスされただけで、みーんな、あれのとこへフラフラ引き寄せられて、戻って来なくなるんだ」
「戻って……?」
毒とはそういう意味か、と顔をほんのり赤らめながら、もう一つ引っかかった言葉には内心で眉を顰めた。
キスという単語を知っているワーズ。
つまり、あの時のアレは、彼にとってキスではないということか。
本当に自分だけが意識してしまったのだと、改めて認識してしまった。
複雑な思いを抱えつつ、なおも「毒」の触れた箇所を擦っていれば、店側からシウォンに関しての説明が追加される。
「あの人は人狼の本性をそのままなぞる人だからね。たっぷり自分に溺れさせた後で、飽きたら同族でもない限り、腹掻っ捌いて臓物を喰らうんだよ」
ここは赤くなるべきなのか、青褪めるべきなのか。
女たちが「末路」と言った意味を理解しては、引きつり笑いしか浮かばない。
「しかもあれにとっちゃ、ボクはラン以上に気に入らないみたいでねぇ。若い娘の従業員が入る度に連れてってさ、わざわざ残骸を芥屋にばら撒いて来るんだよ。ウチじゃ、人間の肉なんて取り扱ってないってのにさ?」
へらへら「困るよねぇ?」なんて同意を求められても、辛うじて保っていた笑いが崩れるだけ。
(そういや、この人、前に「死んだ者に興味はない」って言ってたっけ……)
つまるところ、泉がそんな風に最期を迎えても、ワーズはただ「困った」と笑うのか。
納得しかねる思いに頭と胸が気持ち悪くなる。
これを嫌って泉は話題を逸らした。
「ええと……ランさん以上っていうのは?」
鮮魚箱を戻し終え、一息ついた姿に視線を送れば、目があちらこちらへ泳ぐ。
これを変わらず笑うワーズが、楽しそうに銃をランへ向けた。
「そりゃあもちろん、因縁の相手だからねぇ? ランは人狼最強だったシウォンに勝って、その称号を手にしちゃったばかりか、本当なら引き継ぐはずの群れ蹴ってさ。でも何よりあれがラン嫌うのって、勝ったくせにトドメ差さなかったから、だよね」
「う、煩いな! 大体、あれはマグレで……。第一、同族嫌いの俺が、どうしてあの人の群れを引き継がなきゃいけないんだよ」
深々とため息をつく。
自分から振った話とはいえ、この見るからに弱そうな男が、どうやればあの荒々しい美丈夫に勝てるのか、想像できない事柄に泉は驚くばかり。
と、そこへ、
「御免下さい。お姉ちゃんはいますか?」
店からひょっこり顔を覗かせる、オーバーオール姿の子どもが一人。
短い髪自体が淡く発光しているような頭に夜を髣髴とさせる瞳、愛くるしい顔立ちが、泉を認めては白い牙を見せて笑う。
死人と呼ばれる種特有の鋭い牙を見ても、泉は人狼ほど臆さず、つられて笑ったのだが。
「そういや、泉嬢、太いの気にしてたよね?」
思い出したかのように唐突に言われては絶句し、へらへら銃で頭を掻く白い顔を睨みつけた。
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