!注意!
このお話には奇人街のキャラを起用していますが、仕上がりが程好く危険です。
それでも良いという方のみ、どうぞ。
人魚姫A面 7
真っ暗な室内にぼんやり浮かぶ真っ白な面。 不気味な絵なれど、それは人魚姫の想い人に相違なく。 見舞いを知らない人魚姫にとっては、三日ぶりに見つめる愛しき姿。 けれど彼女は、その想いに胸を焦がす暇を捨て。 握り締めていた懐剣を、指が白くなるまで握り締め。 激痛に焼かれる足も気に留めず、纏っていた白布を落としては、眠る王子様の下へと駆け寄り。
その頭上へ思いっきり、懐剣を振り下ろしました。
「っぐ」 くぐもった音が黒い姿から響けば、渾身の一撃を見舞った人魚姫は、勢いのまま、ベッドへと倒れ込みます。 次いで見つめるのは、闇色の髪の下、変らぬ白い顔の笑み。 ……良かった。王子様、気づいていないみたい。 随分眠りが深いのか、人魚姫の重みでベッドが弾んでも、眠る王子様に苦痛の色はありません。 そこから身を引き剥がした人魚姫は、ベッドを背もたれに、足下に倒れた黒い覆面姿の男を見やりました。 誰とは判別しませんが、隙間から覗いた時、王子様へ剣を突きたてようとしていたので、いつぞや耳にしていた暗殺者の類なのでしょう。 しかし、それにしては些か妙だと人魚姫は思いました。 無我夢中で叩いてしまったけれど……この人、本当に暗殺者なのかしら? 格好は見るからに、だけど、素人にしてやられるなんて。しかも大の男の人が。 元々、腕力に自信があったわけでもない人魚姫ですから、男の様子は増して奇異に映りました。 息を整えるべく胸元に置いていた手を、人魚姫はおもむろに男へと伸ばしました。 覆面を取ったところで奇異さが晴れるものではありませんが、本当に気絶しているのか、気になって仕方がないのです。 これが演技で、人魚姫の出方を伺っているとするなら、彼女の行動は危険極まりないものでしたが、放っておける図太い神経は持ち合わせていませんでした。 そうして指が、男の覆面に掛かった途端。 「っ!!?」 バチッと爆ぜる音に続き、人魚姫の足がいつもの何倍以上の痛みを訴え始めました。 熱く痺れる感覚に、男が何かしたのかと霞む視界を向けますが、床に転がった黒い姿はピクリとも動きません。 が。 「――――っ!」 男の所業とは考え難い、そんな結論に達したところで、何の救いがあるというのでしょうか。 引き攣れる、貫く痛みは、足を宙に浮かせても納まらず、人魚姫は溜まらずに、履いていた靴を脱がしに掛かります。 僅かな振動さえ痛覚を刺激する中で、程なく解放を得る足。 それでも痛みは引かずに、それどころか時の経過と共に、段々と度合いが増していくようでした。 い……たい…………。あ、し……足がある、から? ベッドに顔を押し付けて喘ぐ人魚姫は、垂れる涎を拭いもせず、虚ろな眼差しを床に彷徨わせました。 伏した男すら、物の輪郭としか思えなくなった矢先、見つけたのは懐剣でした。 男を殴ってそのまま落ちた得物に、人魚姫は思考を満足に紡げない頭で手を伸ばしました。 痛みに震えながら、すらりとその刀身を露にし。 「っ…………」 ゆらゆら揺れる動きで、一瞥したのは、ベッドで眠る王子様の姿。 へらりとした笑み。 人を馬鹿にしたような―― 王子様……許して、下さい。 鞘を投げ捨て、上目遣いに王子様を見つめた人魚姫は、下唇をぎゅっと噛み締めました。 そして足を振り返ると、目をしっかり閉じ、目標に向けていた刀身を一気に振り下ろし――。
「お止め」
「!」 続かぬ肉の感触の代わりに、ふんわり、懐剣を握る手が下から掬い上げられます。 包み込む、けれど力強いひんやりとした熱に、閉じていた目を開けた人魚姫は、痛みの波に意識を混濁させながら、王子様の方を見やりました。 「全く……どうしてお前は、こんなことをしようと思ったんだか」 だって、足が痛かったから。斬りつけたら少しはマシになるかと思って……でも、血で汚れちゃうから、許して欲しくて。 ベッドの上から身を乗り出し、足を刺そうとしていた懐剣を取り上げた王子様は、茫然とする人魚姫を抱き上げました。 胡坐を掻いては、人魚姫をその上で横抱きにしつつ、懐剣をまじまじと見つめます。 「ふ〜ん? 魔女の意匠か。お前が持つなら、この足と同じ魔女のモノだな」 「!」 懐剣を背後に置いた王子様は、何を思ったのか、人魚姫の足を強く掴みました。 ただでさえ痛む足に、更に加えられた圧は、人魚姫の指を王子様の両肩に食い込ませましたが、彼は痛がる素振りも見せません。 手を離しては、人魚姫が一息つく間も与えずに、足をゆっくり指でなぞり上げていきました。 「〜〜〜〜っ」 たったそれだけの事でも、かなりの痛みを訴える足に、人魚姫は相手が王子様という事も忘れてしがみつくと、その肩に思いっきり噛み付きました。 けれどやっぱり、王子様は気にしません。 いえ、気にしないどころか、人魚姫がしがみついたお陰で自由になったもう一方の手を使い、彼女の首元の紐を解いてしまったではありませんか。 給仕が去って後、四苦八苦して自分で着替えた苦労が台無しです。 しかし、緩慢に撫で続けられ、痛みを持続させられている人魚姫は、そんな背後に構っていられません。 背中が涼しくなっても、相変わらず王子様に噛み付いていました。 んが。 うひゃぅっ!? 解いた隙間を狙い、侵入してきた大きな手が、たわわとは言い難い胸を鷲掴みしたなら、離れない歯はありませんでした。 「ん? 違ったかな? もうちょっと、こっち……あ、これかな?」 ふぁっ、そ、そこは……や、あっ! 「んー? 手探りって結構難しいねぇ? ああ、これ……いや、違うか。ボクが探しているのは、もっと硬質なモノだし」 っっ!? こ、この人っ、絶対、ワザと、だ、ぁうっ! 痛みとは別口で潤みつつある瞳を用い、王子様を睨む人魚姫ですが、許される行動は悶える事だけでした。 撫でられる足は激痛のため、手の侵入を許した背は腕に抱え込まれているため、自由に動かす事ができないのです。 徐々に王子様の両肩を掴んでいた手から力が抜ければ、揉みくちゃにされている胸元に合わせ、人魚姫の頭が力なく黒い胸板を押していきます。 痛いのか快いのか、まともに判別出来ない刺激の連続で、思考を満足に紡げない人魚姫は、王子様の為すがまま。 そんな人魚姫を知ってか、喘ぐ頭上で王子様は愉しそうに、彼女の頭へ唇を寄せつつ言いました。 「クク……面白いねぇ? こうして触れるのは三日ぶりだっていうのに、反応が過敏だよ? 昨日まで寝込んでいたとは思えないくらい、素直で従順。そこまでボクに触れて欲しかったのかい? 夜這いまでしてさ?」 よばっ……夜這いぃっ!? 聞き捨てならない言葉を聞き、顔を上げる人魚姫。 心底可笑しいと顔を歪める王子様は、心外だと見開かれるこげ茶に目を細めました。 ふっ、ああっ!? と同時に、足を撫でていた指が上に滑り、再び人魚姫の頭が下がります。 クツクツ笑う喉が上に来るのを聞きながら、人魚姫は王子様から言われた言葉にはたと気づきました。 い、言われてみれば、状況はそれに近いかもしれない、わふっ!? け、どぉっ、違うのっ、ち、違うの、にっ! 人魚姫は堪らず、服の上から王子様の手に手を重ねます。 止めてと訴えかける気持ちで見上げれば、柔らかな混沌の眼差しが向けられていることを知り、しばし刺激を忘れて惚けました。 これへ苦笑を示した王子様は、するり胸から手を引き抜くと、人魚姫の襟首へ指を滑らせ。 「冗談はさておき」 ぐぇ…… いきなりペンダントの紐を引っ張られた人魚姫は、詰まる息から少しだけ仰け反りました。 王子様は構う素振りもなく、人魚姫からペンダントを外し、咳き込む彼女を尻目に刃のない小刀を足に押し当てました。 「対魔女の効果があるペンダント、だからね。これで少しは楽になるはずだよ」 ふわ……ほ、本当だ。さっきまでの痛みが随分楽に…… 「ほら、そこの彼に触れる前、お前はこのペンダントを服越しに押さえていたでしょ? 普通に触ってたなら、問題はなかったんだろうけどさ? そのせいで、魔力が依り所としてお前の足を求めたんだ。消し飛びたくないって。痛みが増したのはそのせい」 そ、そうなんだ………………………………………………………………………………ん? ちょっと待って? 王子様の説明に感心していた人魚姫ですが、そこで可笑しな事に気づきます。 どうも王子様、暗殺者が来た時から起きていたようです。 しかも。 ……それじゃあどうして私、こんな目に? 紐を解かれたせいで緩む胸元を握り締め、身を縮めた人魚姫は、訝しむ目付きで王子様を見つめました。 ペンダントなら、先程の要領でさっさと取り外せたはずです。 王子様……そういえば、冗談は、って。――まさか、遊ばれた!? 完全に理解した人魚姫、憤慨して真っ赤に顔を染めれば、へらりと笑う王子様が言いました。 「うん? ボクがいつから起きていたのか知りたいって?」 違います! って、私が何言いたいのか、分かってて言っていますよね!? ずり落ちそうになる服を押さえつ、怒鳴りつけるように口を開いたなら、王子様はきっちり頷き。 「実はボク、枕が変わると寝られないようでさ。ここ最近は寝不足なんだよ」 はあ!? 全く違う話を持って来られた人魚姫が大きく目を剥いても、王子様は構わず肩を竦めます。 「んで、まんじりとも眠れなくて困っているところに、彼が現れたってわけ。どうしようかなー、って思っている内にお前が来て、彼にガツッと、さ?」 ど、どうしよかなー……? 暗殺者から狙われたにしては、あまりにのほほんとした言い様。 毒気を抜かれてしまった人魚姫は、信じられないと首を横に振りながら溜息をつきました。 けれど、俯き加減となった顎に白い指が添えられたなら、再度王子様を仰ぎ見るように促されます。 些か冷めざめとした混沌に迎えられ、絡めとられるこげ茶の瞳。 王子様の膝の上、じっと見つめ合えば、真っ赤な口が開かれました。 「さてと。じゃあどうしてボクが、お前にあんな事をしたのかと言えば――これ、何だか分るかい?」 「!」 てっきりはぐらかされると思っていた話題が上り、目を丸くした人魚姫ですが、続いて王子様が取り出した物を見ては、顔を真っ青にさせます。 な、何故それがここに? 「ふ〜ん? やっぱり自分で捨てたんだねぇ? って事は、ここに来たのは偶然、本当は夜這いの逆で、屋敷から出て行こうとした、でしょ?」 う……お、王子様、何だか怖い。笑いながら怒っている感じがして、怖いんですけど? ひらひらと、屑籠に捨てたはずの手紙を振る王子様に対し、図星を指された人魚姫は愛想笑いを浮かべました。 これに柳眉を片方だけ上げた王子様は、片手だけで手紙の中身を取り出すと、もう一方の腕で、人魚姫の両腕を身体にくっつけて拘束。 いぃっ!? こ、これって、もしかしてもしかして、もしかしなくても!!? これから行われるであろう事を察した人魚姫が、顔色を赤とすべきか青とすべきか悩むのを尻目に、にたりと嗤った王子様は口を開きました。 抑揚の乏しい声で、人魚姫の耳に染み込むように。
王子様への想いが綴られた手紙を、淡々と朗読してゆく王子様。
聞き手にとって、これほどまでに惨たらしい朗読会はないでしょう。 手紙というモノは大抵、相手に渡しさえすれば、もう二度と読み返す必要のない代物です。 想いを認めた手紙なら尚の事、読み返すなど拷問以上の何者でもありません。 質の悪い罰ゲームです。 それが今、よりにもよって想い人の口から直接、耳を塞ぐことも適わず聞かされ続けているのです。 王子様の口が噤まれ、手紙が折り畳まれたとしても、真っ赤な顔を人魚姫が覆えないのは、当たり前かもしれません。 もういっそ、殺して下さい…… 泣けない表の変わりに心がしくしく涙を流せば、人魚姫の願いを叶えてくれそうにない王子様はへらへら笑って告げます。 「お前、人魚姫って呼ばれてるんだね。姫って見た目でもないのに」 ぅぐっ……ひ、酷い…………しかも言うに事欠いて、一番最初の感想がそれですか? 仮にもあなたへの想いを綴ったのに? グサグサ突き刺さる王子様の言葉に、がっくり項垂れる人魚姫。 その頭に顎を置いた王子様は、クツクツ喉で笑いました。 「大体、手紙をわざわざ書くって言うのが笑えて仕方がないよ。紙の無駄だしインクの無駄」 ううううう……何もそこまで言わなくったって。 すっぱりばっさり告げられ、ショックを二重三重に受け続けた人魚姫は、立ち直れないとようやく顔を手で覆い、かけ。 「全くさ? お前はボクのモノなんだから、そんな七面倒臭い真似、いちいちしなくても良いのに。お前の気持ちなんて、最初っから知ってるボクとしては、本当に理解しかねるよ」 え……知って、る? 「なのに、勝手に出て行こうとするところが気に食わない。こんな手紙を書いたって事は、お前はまだ、ボクに未練があるはずでしょ? 面と向かってなら兎も角、勝手に思い悩んで、無断でボクのところから去ろうとするなんて、誰が許すと思うの? お前がボクを嫌いっていうなら別に止めないけど、好きだっていうなら、ボクが手放すわけないでしょう?」 王子、様……? 何やら凄い事を告白された気がして顔を上げた人魚姫は、意地悪く細められた混沌の眼差しに迎えられました。 「さっきのアレはね、ちょっとしたお仕置きなんだよ。勝手に出て行こうとしたお前への。でも、足の痛みばかりじゃ辛いでしょ? 可哀相と思ったから、愛撫して上げたんだ」 お、お仕置きって、足だけ!? して上げたって、そんな…… 「さて。こうなったら、そろそろ動くかな? ちょっと降りてね」 恩着せがましい口振りに絶句する人魚姫へ、悪びれた様子もない王子様は、ベッドを降りるよう指示してきます。 黒いマニキュアの白い手に誘導され、ペンダントのお陰で少しだけ痛みが和らいだ足を降ろした人魚姫は、脱ぎ捨てた靴を履くと立ち上がりました。 すると、緩んでいた服が落ちかけ、慌てて襟首の紐を結ぼうと手を上げます。 褐色の長いクセ毛をかき上げた矢先。 「っ!?」 王子様!? 目の端で、王子様が白い腕を剥き出し、そこに懐剣の刃を当てているのを認めた人魚姫は、紐を放って彼へと手を伸ばしました。 しかし王子様は人魚姫の方をちらりとも見ず、つぷり、刃を突き立ててしまいます。 いやっ! 息を呑む人魚姫。 みるみる内に、両目に涙が浮かんできますが、王子様は対照的にへらへらした顔つき。 止めるよう裾を引く人魚姫の手があっても知らんぷりで、これを横にスライドさせては、白いベッドカバーの上に、ボタボタと血を流しました。 「ま、こんなもんかな?」 止血、止血しなくちゃ! あくまでのんびり構える王子様に、人魚姫は青褪めた顔で自分の服を破こうとしました。 「おっと破いちゃ駄目だよ。止血ならこっちの自分の服でするから」 じゃあ、私にやらせて下さい! 一人で結ぶのは無理です! 「……なんで、お前が泣くのかなぁ? 痛いのはボクのはずなんだけど」 だったらこんな真似しないで下さい! どういうおつもりで、こんな、こんなっ……! 「大丈夫だって。この程度の傷ならすぐ治るから」 大丈夫なんかじゃありません!! 王子様が差し出した服を奪い取った人魚姫は、彼が流した血に負けない勢いで零れる涙を拭いつつ、手早く処置をしていきます。 歩行練習の際、足の痛みを少しでも和らげようと、色んなモノを巻いていた経験が役に立ちました。 ――痛み自体には、何の成果もなかったわけですが。 はい、お仕舞いです! きゅっと結び目を作った勢いで、人魚姫は巻いたばかりの腕を軽く叩きました。 「いてっ。怪我人を叩くなんて」 知りません! 自業自得です! 涙を溜め、そっぽを向く人魚姫に、王子様は眉毛をハの字にして、やれやれと首を振りました。 これにムッとした人魚姫が噛みつくように口を開けば、王子様の視線がベッドの赤い染みに移ります。 「いい機会だと思ったのさ。ここは城じゃなくて、一人部屋で、暗殺者もいて。王子を“殺す”には、滅多にないチャンスでしょ?」 「…………」 同意を求められても人魚姫には何の話だか、検討もつきません。 ただ分かるのは、王子様の瞳がとても穏やかで、怒りを向けるのは場違いだという事でした。 沈黙する人魚姫を知ってか知らずか、王子様はふっと小さく呼気を漏らしました。 自嘲とも取れる響きで。 「ボクはさ、王位に興味なんてないんだ。でも、ボクがいることによって、王になりたくてもなれない子がいる。譲渡を考えても、血の順序を律儀に守る人たちが許さない。かといって、痛いのは嫌だからね。自殺も、殺されて上げる気にもなれなかった。幾ら人間が好きだって言っても、死の望みだけは叶えられない。ボクは、生きているから」 王子様…… 何の感慨も見せない、へらへらした語り口。 けれど人魚姫は王子様の背中に、そっと手を添えました。 まるで自分の生を悪だと言わんばかりの言葉へ。 その生を愛おしむ者がここにいるのだと知らせる為に。 「……人魚姫」 初めて呼ばれた名。 驚いて顔を上げた人魚姫は、こちらに向き直る白い面をじっと見つめました。 頬に白い手が寄せられたなら、少しだけ上向きに、瞳を閉じて。 小さく触れる、ひんやりした温もり。 ――額に。 大幅にずれた感触へ、ちょっぴり悔しい思いを抱いて目を開けた人魚姫は、その先の慈しむ視線に自然と頬を熱くさせてしまいました。 が、頬に触れていた手まで離れたなら、ささくれた気分を味わいました。 思わず強い目で王子様を射れば、困ったような笑いが赤い口に追加されます。 「期待、していたのかい?」 「!」 ストレートに図星をつかれ、人魚姫は隠す事も出来ずに、顔へ朱を走らせました。 一通り笑った王子様は、褐色の髪に手を差し入れると、柔らかく梳き。 「悪いけど、まだお預けだよ。折角、血を流したんだ。最後までちゃんと始末はつけないと」 言いつつ、王子様の目が人魚姫の背後に向けられます。 これに気づき、追った人魚姫は。 「!!?」 「ソイツから、離れて貰おうか」 新たに侵入してきた、海底にいるはずの魔女の姿を知り、王子様の服を咄嗟に握り締めました。 |
2009/10/21 かなぶん
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